ジョギング・ランニングを楽しむための食事の話 Ⅱ

東京家政学院短期大学 助教授/管理栄養士 金澤 良枝

 1日の適正な摂取エネルギー必要量とは、基礎代謝量+食事誘発熱産生量+身体活動
に要するエネルギ-量です。

基礎代謝量:身体的、精神的に安静な状態で代謝される最小のエネルギー量であり、生命         を維持するために必要な最小限のエネルギー消費量
食事誘発熱産生量:消化、吸収に要するエネルギー量とその影響として観察される体温上              昇によるエネルギー量
身体活動に要するエネルギー量:日常生活活動(仕事・運動など)に必要なエネルギー量

WHO(世界保健機構)式の基礎代謝(kcal/day)計算式は以下の通りです。
 男性  18~30歳  15.3×体重(kg)+679
      30~60歳  11.6×体重(kg)+879
      60歳以上  13.5×体重(kg)+487
 女性  18~30歳  14.7×体重(kg)+496
      30~60歳  8.7×体重(kg)+829
      60歳以上  10.5×体重(kg)+596

これに、日常生活により消費されるエネルギー量を加えて、1日のエネルギー必要量となります。皆さんのように運動の習慣(運動の種類、運動時間により差は生じますが)がある方では、基礎代謝量に1.75~2を乗じれば良いでしょう。ここで大切なことは、これをもとに運動量や体重変化などを加味して、ご自分のエネルギー管理をしていけば良いということです。
 ちなみに、ジョギングやランニングにより消費されるエネルギー量は、簡単な目安として「現体重×走ったキロ数」と考えられています。例えば、体重50キロで、10キロ走ったとすると、50×10=500 kcalの消費となるのです。

ところで、500 kcal分を実際の食事で考えると…
外食1人前のおおよそのエネルギー量ですが、にぎり寿司(値段・ネタにより違いますが)500~700 kcal、鍋焼きうどん(えびの天ぷら入り)600~700kcal、ビーフカレー700~800 kcal、とんかつ(ロース)定食800~900 kcal、というような感じです。簡単にパクパク食べてしまいますね。
次は食事の内容の問題です… これは次回にお話します。

理想的な体型

色々な現場で「体型」まつわる色々な話や悩みを聞いてきました。一人一人の体型は違います。同じではありません。性・年齢・運動歴・食生活、によって違いが出るのは当然です。そんな折り、ある新聞記事に出会いました。

15から19歳で、「適正」な体重の範囲内にある女性のうち70%以上が「自分は太っている」と感じているそうです。(国民栄養調査/厚生労働省)皆さんはどうお思いでしょう?戦後の「まるまる太った大きな赤ちゃん」からツイッギー(知らない方が多いかもしれません)体型に時代は急激に変わってしまいました。「まるまる~」には意味がありました。戦争直後の感染症との戦いを十分な栄養摂取で戦おうとしていたその結論にあったと思っています。時代は変わり私たちは「肥満」とも戦っています。しかし、「細ければよい」のではありません。望ましい運動実践、バランスのとれた食事の延長線上に一人一人の「望ましい体型」が見えてきます。「何もしないで、何も食べない」細くなるのは簡単です。そうではありません。
ひとりひとりの理想とする「体型」とは何か?基準は何か?が欠けているように思えます。ボディーイメージという言葉をご存じですか?

ジョギング・ランニングを楽しむための食事の話 Ⅰ

東京家政学院短期大学 助教授/管理栄養士 金澤 良枝

1 栄養素と食事
「○○は体に良い? △△を摂れば筋肉が強くなる?」という言葉を聞きますが、これって変だと思いませんか?

食品の栄養素、成分について考えてみましょう。
食品に含まれる成分のうち、生活活動のための生理的な働きに役立つものを栄養素と呼びます。人に必要な栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5つに分けられます。炭水化物、たんぱく質、脂質は三大栄養素と呼ばれるものです。
 身体における栄養素の働きは次の3つに分けられます。
エネルギー源:自動車でいえばガソリンに相当し、三大栄養素がこれにあたります。その他、アルコールもエネルギー源になります。
身体の構成成分:自動車でいえばボディやエンジンに相当し、水、たんぱく質、ミネラルが主もので、身体成分を構成する材料です。その他、脂質、炭水化物も一部が利用されます。
身体の機能調整作用:自動車の潤滑油に相当し、ミネラルやビタミンがあたります。
 以上の機能が組み合わさって相互に干渉し合いながら、すべての栄養素の新陳代謝がたえず行なわれているのです。人は外界から飲食物の形で必要な栄養素を取り込み(消化吸収)、そのエネルギーを代謝して生命現象を営んでいるのです。

 私たちは、食品を調理して食事という形で栄養素を摂取しているのです。つまり「栄養素の複合された集合体を食事で摂取する」ということで、決して単独の栄養素のみを摂取しているわけではありません。サラダ油のような植物油は、100%脂質という単独の栄養素ですがサラダ油をガブガブと水のように飲むことはありませんよね・・。
 よく、「○○は体に良い、△△を摂れば筋肉が強くなる・・」ということを聞きますが、その単独成分やある食品ばかり摂取しても効果の程は?
つまり食事全体の内容で勝負しなければ意味は無いのです。
-------------------------------------------------------------------------------------------
■あるあるさんからの質問('05/02/24)です。(COPYさせて頂きました。)
栄養の頁を担当されている金沢先生にお伺いしたいのですが、あるある大辞典で「これだけ飲めばやせる!」と太鼓判を押していたαリポ酸は本当に痩身効果があるのでしょうか?
-------------------------------------------------------------------------------------------
by あるある さんの質問に対して/金澤 良枝 ('05/02/24)

「これだけ飲めば痩せる!」

 まず考えたいことは、人の体重が増えるか減るかは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスによるということです。摂取エネルギーが消費エネルギーより過剰であれば、体内でグリコーゲンや体脂肪として蓄えられます。また、消費エネルギー量が摂取エネルギーよりも過剰であれば、グリコーゲンや体脂肪がエネルギー源として使われ生命を営むこととなります。
 よく、テレビ番組や雑誌で「○○を飲むと(食べると)…」とありますが、確かにその成分についての解説はされています。しかし、それを摂取した時、摂取しない時の体重変化は言っていても、体組成変化、摂取エネルギー量の変化などまでは詳細に示されていないものが殆どではないでしょうか?痩せたといっても、体脂肪、体蛋白量などの変化を観察し体脂肪が減っていればよいのですが、細胞内外液量が減って体重がおちているのは、単なる脱水です。
 たまたま、その食品を摂取した時にはエネルギー摂取量も少なかったのかも知れません。情報の科学的根拠の有無を検証しなければいけないと思うのです。
 by あるあるさんの質問された番組の内容はわかりませんが、ある成分が体内代謝でエネルギー消費に、有効に作用するということはあるかもしれません。しかし、本質はエネルギーバランスでありいくらそのような成分を摂取しても、エネルギー過剰であれば痩せることはなく、体重増加を招くと思います。
 このような話題は皆さん興味のあることと思います。運動を継続し、適正エネルギー管理のなかでの体重・体組成管理についても、これから食事の話のなかに入れていきたいと思います。ただ痩せていることが美しいことではないと思います。「体の中身」の美しさではないでしょうか?